開催レポート

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視野を広く持ち探検することは大事だが、最後に道を決めるのは自分〜8/11 近未来ハイスクールレポート

近未来ハイスクールの対話型「正しい仕事の選びかた」が8月11日に開催されました。28名の社会人が、42名の高校生、そして中学生・大学生に仕事の話をしました。教育とITの分野で先端的な研究を行うデジタルハリウッド大学院 佐藤昌宏研究室の協力のもと、デジタルハリウッド 駿河台ホールで開催しました。

近未来ハイスクール スクール長 小林利恵子

近未来ハイスクールの一番の特徴は、仕事の話をする大人が魅力的な「変人」であること。エッジのたったプロフェッショナル、仕事に夢中な大人達が、これから社会で活躍していく高校生に仕事の現場の話を伝えたい、仕事の話をすることが高校生の役にたつのなら協力したいと参加します。

6/3の対話型は「ITとグローバル」をテーマにしましたが、今回の対話型は業種をしぼらず、多様な職業の方にきていただきました。特に弁護士、社会保険労務士など知っているようで知らない士業、資格をもつプロと話す機会をつくりました。探偵や放送作家、農家など、大人でもあまり普段出会わない分野の職業の人が参加しました。

・税理士という職業は聞いたことあるけど、実際にはどんな仕事をしているの?
・3代続く歯医者さんってどんな感じ?
・探偵って本当はどんな仕事をしているの?

バラエティに富んだ大人に会えるということで、関東だけでなく北は釜石高校、南は沖縄の高校の生徒まで集まってきました。

テーマは「正しい仕事の選び方」

今回は、大人には宿題がでましたが、子供には宿題はありませんでした。生徒は当日セッションの中で同じテーマについて考えます。

宿題は「正しい仕事の選び方」について考えて、A4の紙に書いてくること。「正しい」というのは人それぞれですが、あえて「正しい」をつけて仕事の選び方について大人も生徒も考えてもらいました。

近未来ハイスクール スクール部長 加藤肇

前半は、少人数にグループ分けします。大人が2名と子供が数名。かなり贅沢な状況です。宿題のテーマの話もいれながら大人が自分の仕事について紹介していきます。その後、生徒は同じグループのメンバーと「仕事の選び方」について考えました。そこから、いまの高校生たちのキャリアに対する考え方や、不安、興味関心が浮き上がってきます。

ある高校生は、イチローや本田圭佑のように、夢に向かって一直線に向かっていく、と話しました。それを聞いた同じグループの大人は少し心配します。紆余曲折な人生も受け入れたほうが、もっと気が楽ではないかと。

別のグループの大人は高校生が「夢が正社員」と言ったことが、心に刺さったと話します。絵を描くことが好きでネイルの道を目指したが、一人暮らしをするには収入が厳しい。だからまずは正社員になりたい。

そもそも「生活できるか?食べていけるか?」という心配を抱えている生徒もいます。「改めて、大人が夢を見せたいと感じた」とコメントを寄せる大人もいました。

高校で文系・理系が分かれてしまうのが残念という高校生も。将来を決めかねている高校生も多い中で、方向性をこの段階で決めるのは早いと感じるようです。一方、目的もやりたいこともはっきりしているけど、それを日々の行動にブレイクダウンできずにいる生徒もいました。

後半に入ると、興味のある仕事をしている職業人のところへ話を聞きにいきます。

ひとつの教室に80名近い人が行き交い、議論をすることで、最初の緊張感も徐々にほぐれ、熱気を帯びていきました。

 

夢ににじりよれ〜大人も学ぶ

近未来ハイスクールは、大人も子供もフラットな関係であることを大切にしています。大人が上から目線で武勇伝を話すのではなく、同じテーマ(今回は「正しい仕事の選び方」)について考え、対話します。

生徒と話すことはもちろん、同じグループに入った大人同士でも、仕事に対する姿勢や考え方について学びや刺激があります。

ある職業人は、同じグループの人が「企業内ピン」的仕事の仕方をしていて、今いる場所で自分のやりたいことをどんどん切り開いていく感じがとても共感できた。もっと遠慮せずやっていいんだ!という自信にもつながったと話します。

一緒のグループの人がとにかく「数字を扱える」だけで一定の喜びがある、というのを聴いて、改めて、「文章派・言葉派」の自分と圧倒的に違うタイプの人がいることを実感したという人もいました。

その理系の職業人からは、「やりたい仕事につくべきだが、できなくても、仕事を真剣にやって、自分のやりたいことに、にじりよれ!」が印象的だったと言います。

また「子供のいない自分には、一時預かりのような子育て感を味わうことが出来ます」という職業人も。「自分の仕事のことをどう伝えよう?と考えることが自分を振り返るとても良い機会になっていて、この企画は私にとっては自分事です」

この場をみたオブザーバーの高校の先生は「生徒が学校では見せない楽しそうな様子に嫉妬する」と感想をもらしてました。でも近未来ハイスクールはあくまでもきっかけにすぎません。

たまにきて面白い話をしてくれる親戚のおじさんのようなもの。日常の世話は親がするように、日々の学びの場である学校がとても重要です。近未来ハイスクールは、学校でカバーできない仕事の現場とつなぎ、学びへのモチベーションが高まった生徒さんを学校へつなげていく役割を担っていきます。

「楽しいと思って仕事をしている人が多い」と知ることができた

生徒の参加のきっかけは、自分でイベントをみつけて来た、言われて来た、宿題だから来たなど様々なため、モチベーションにも差があります。でもそれが普通です。普段、学校で先生方はいろいろな生徒を相手にしています。来た子をいかに巻き込んでいくか。近未来ハイスクールの運営側ではそのあたりの雰囲気づくりやファシリテーションについて、さらに議論を進めていきます。

アンケートを見ると、好きなことを大切にするけれどもそれが全てではないことや、与えられた状況にまずは取り組む、まずは挑戦してみるといった言葉が印象的だったと書かれています。

今回お願いした職業人の方が、しなやかに生きることや、学ぶこと、そして、人とのつながりの大切さなどを丁寧に伝え、生徒たち自身がその中から気付きを得ている様子を感じられます。

以下に、生徒たちが書いたアンケートのコメントの一部を紹介します。

 

いろいろな話が聞けた!〜感想

・普段お話を聞く事ができないような職業の方から色々なはなしを聞けてとてもおもしろかったです!

・将来のことを一度考えられる機会であり、無料で参加できるとはすごく得でした。

・「士業」のことはあまり知らなかったのですが、今回参加して知ることができ、なかったことを知ることができました。

・仕事をしている方からお話を聞ける機会というのがあまり今までになく、職業について父親の職業の仕方のイメージしかなかったので、とても新鮮で考えが改められました。

・絶対聞く事がない色々な話が聞けてよかった。

・人間関係が大切ということを改めて実感しました。

・最近勉強に身が入らなかったので、今回本当に来てよかったです。

・大人、職業人への評価の仕方、考えを肌に触れることができた。(大人から)意見を聞ける場に感謝したい。

・自身の経験談や失敗談などの貴重な話を聞く事ができて、とても良い機会になりました。

・楽しいと思って仕事をしている人が多いというのが、今回知ることができて良かった。過労で自殺などのニュースがよく流れる現代で、楽しんでいる人がいる、無理をせずに自分のできるペースで仕事をやっていいんだよ、と今苦しんでいる人達が学生の時に知っていたらなぁと思いました。

・やりたい事は時間と共に変わるといわれ、転職をするのも別にわるいことではないなと思うことができました。また、自分のやりたい事をやるためにもまずは自分を知ることが大切だと感じました。

・視野を広く持ち「探検」することが大事だが、最後に道を決めるのは「自分」だということを意識していきたい。

探偵 阿部泰尚氏

やるだけやってみる〜心に残った職業人の言葉

・今やりたいことがない人は、与えられたことをやってみる。

・つまずいても、色んなものを見て、きりかえる

・感覚も大事。決めつけるのはよくない。

・自分の好きなこと、やりたいことを大切にする。

・質問するつもりで話を聞く。

・色んな人に出会ってみてほしい。とにかく行動してほしい。

・自分のやりたいことを応援してくれる人を大切にする。

・大切なのは情熱。リーダーシップはみんなを引っ張ることだけじゃなく、後ろから押すことでもある。

・自分で選択することは大切で責任をもっていかなければならないけれど、それはいつでも変えることができるし、だからこそどんなことでもチャレンジすることが良い。

・最後の大野先生の言葉「先延ばしにせずに思い立ったらすぐやるというアドバイス」を胸にこれから夏休みを過ごしたい。

・それぞれ強い信念を持っていることが印象的でした。

東京都立国立高校 生物教諭 大野智久氏

・2回目の参加でしたが今回も楽しかったです。次回からも参加させていただきたいです。

・「近未来ハイスクール」をもっと頻繁に開催してほしいです。

中高生、大学生にとってお土産の多い会になった様子を感じます。また、先に「自分事」と言ってくれた職業人のコメントを書きましたが、他の大人の方からも自分にとって重要な機会だと言われます。

「自分自身が常に仕事と正面から向き合っていないと、彼らに何かを伝えること自体が嘘になってしまいますから、毎度兜の緒を締める気持ちです」

近未来ハイスクールは今回の企画を振り返り、改善し、より楽しく、役立ち、ちょっと気が楽になりつつ、がんばる気になるという、かなりよくばった場を提供できるよう引き続き開催していきます。

(近未来ハイスクール スクール長 小林 利恵子)

*近未来ハイスクールとは
近未来ハイスクールは広報支援・イベント企画/運営をてがける株式会社オプンラボが運営するキャリアプログラムです。近未来ハイススクールを、企業における課題解決を通じたマーケティングや採用広報として協賛したい、全国の高校・高専におけるキャリアプログラム・アクティブラーニング授業などへの導入したい、地域創生の企画に取り入れたい、という方はまでご連絡ください。
《お問い合わせ》近未来ハイスクール(オプンラボ内) information@opnlab.com

職業人

阿部 泰尚 T.I.U.総合探偵社
新井 佐恵子 白鴎大学経営学部 (有)アキュレイ
石川 一郎 香里ヌヴェール学園
板谷 和代 株式会社タンタビーバ
奥谷 孝司 オイシックス
尾飛 良幸 (株)Diamond Music Tour
勝又 絵美 獣医師の資格を持つ公務員
北岡 大介 北岡社会保険労務士事務所
熊村 剛輔 アドビシステムズ株式会社
鞍掛 靖 株式会社ヤマハミュージックジャパン
K氏 建築メーカー
後藤 健夫 教育ジャーナリスト
佐竹 美帆 株式会社spirity 代表取締役・Colro Me Rad Japanレースディレクター
佐藤 達郎 多摩美術大学
澁野 義一 大手出版社
高橋 俊介 税理士法人ASUWA
高山 智司 デジタルハリウッド大学院 佐藤昌宏研究室
舘田 智 舘田珈琲、アイラ島、ITコンサルタント
田畑 智子 パークスグローバルスクール
手老 善 鉄道会社
藤田 融 藤田歯科医院
松下 信也 サンバファーム
松本 阿礼 広告代理店
松本 甚之助 弁護士・三宅坂総合法律事務所
松本 暁義 ゾーホージャパン
松山 千晶  住宅設計(一級建築士)
山名 宏和 古舘プロジェクト

申し込みのあった生徒の学校

麻布高校
釜石高校
沖縄県立開邦高校
沖縄県立那覇国際高校
片山学園高校
東京都立国立高校
学習院高等科
慶應義塾志木高校
市川学園
女子学院
昌平高等学校
神奈川総合産業高等学校
成城学園高等学校
千葉県立佐原高校
千葉商科大学付属高校
専修大学附属高校
洗足学園高等学校
東京都立第一商業高校
東京都立第四商業高等学校
東京都立国際高等学校
東京都立国分寺高等学校
文化学園大学杉並中学・高等学校
片山学園高校
明法高等学校
獨協埼玉高校
千葉商科大学付属高校
国士舘高校通信制
東京都立三鷹中等教育学校
東京都市大学附属中学
東洋英和女学院中学
日本大学第一中学校
文化学園大学杉並中学校
淑徳与野中学校
慶應義塾大学
埼玉県立大学
日本獣医生命科学大学
麻布大学

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