2020年1月29日、近未来ハイスクールは、ふたたび浦和高校の 「総合的な探求の時間」をサポートしました。「問いをゆさぶる」をテーマにした2019年11月の「課題解決を探究する授業」は、解決策をプレゼンするまで至り、実際に課題解決出来た事例もあったようです。「生徒にとっていい刺激になった」という前回の近未来ハイスクール。今回も一年生が対象、次のクールに入る一回目の授業です。改めて「問い」を立てるところからスタートしました。

学習指導要領の改訂により、高等学校の「総合的な学習の時間」は2022年度から「総合的な探究の時間」に変わります。浦和高校ではその先駆けとして2019年4月に入学した現在の高校1年生にこの探究の授業を実施しています。

自然と向き合いたくなる「問い」

「問い」の重要性に気付いている生徒、重要性は認識していてもどうすればいいのかわからない生徒、そもそも「問い」の重要性にまだ気づいていない生徒と、彼らの立ち位置はさまざまです。

2クラスに分かれてのスタートは、変人(※)との対話を通して、より知見を広めたいと希望した約90名が対象です。変人は10名が挑みました。何よりも、生徒自身が、自分の興味・関心の領域を発見し、その領域で「問い」を設定できれば、「問いに自然に向き合える」ようになるのではないか、また、そうなってほしいというの願いが込められた授業でした。
※近未来ハイスクールの変人の定義:常に変わり続ける人、エッジのたったプロフェッショナルのこと

学校という名のフレーム

学校生活は様々なルールの下で成り立っており、彼らは無意識のうちにいくつかのフレームの中に身を置いています。生徒たちの多くは、大人の期待する答えを用意し、予定調和の方向に進んでしまいがちです。だからこそ今回の授業では、彼らに自由な発想で「問い」を見つけ、探究していけるようになることを目指しました。

そこで、あえて枠組みを設定せず、一人でも多くの変人と自由に対話をすることにより、生徒たちが刺激を受け、行動変容を起こすキッカケの提供をすることを目的に進めました。普段会話することのない外部の大人と接点を持つことは、前回同様、多くの気づきに繋がったという声がありました。また、テーマがばらばらなグループでの対話は、普段話せない友人と議論することが出来てとても有意義だったという声も聞かれました。一方、何をテーマにすればいいか、自分の興味関心のあることが何か、迷う生徒も少なからずいました。

「幸せマッピング」をつくってみよう

ひとつのクラスでは、変人のひとり、清水豊さんから、自分と向き合うために「幸せマッピング」の作成してみようと提案がありました。

「幸せ」を中央に置き、そこから放射線状に自分が幸せを感じるものを記入し、それをどんどん繋げていきます。このマップによって、自分の思考が文字化され、整理されていき、興味のあるもの、関心のあるものをイメージしやすくなります。

清水さんは「これが君たちが幸せだと思うもの。このマップのキーワードから、問いのテーマを出していくというのもひとつの方法」と解説します。自分自身が興味を持つ領域を知ることで、その中で「問い」を立てることのイメージがクリアになり、多くの生徒が納得した様子でした。特にテーマが決まっていない生徒に対して、この「幸せマッピング」つくりは、有効な手段でした。

今回の近未来ハイスクールは、1年生の中から希望した生徒が、フリートークのスタイルで変人との対話することで「問い」を見つけていきました。積極的な生徒は変人に話しかけて思考を整理し、そうでない生徒は変人のファシリテーションによって気づきを得ていきました。もともと希望していない生徒も、他の教室から気になるテーマについて質問に来るシーンも見受けられました。生徒の意志や理解の段階にあわせて変人が寄り添う機会になったようです。

授業後のアンケートより(一部抜粋)

新しい発見を手に入れられた。また、様々な視点で物事を考える重要性が改めてわかった(生徒)

課題解決や問題提起について、変人さんとの対話や周りの生徒の意見を聞くことで、自分のこととして捉えられたり、課題を見つめ直すことができた(生徒)

答えが出なくても良いから、失敗を恐れず、幸せを考えテーマを決めたいと思った(生徒)

徐々に大きな視点を入れると、その問いも広い視野で見られるようになるということが分かった(生徒)

今回の活動で探究するとは何かや、問いに対するアイデアなど、様々な経験からのアドバイスをいただき、自分には探究に興味を持つことができたので、今回の活動をこれからの探究や将来に生かしていきたいと思いました(生徒)

大人と社会問題について語り合う機会はなかなかないので、この経験をこれからの探求に活かしていきます。またお話しできる機会があったら、その時はよろしくお願いします(生徒)

変人側の「なにか、きっとあるはずだ」という、期待が報われたという意味もありますが、ずっと黙っていた生徒が吐き出す言葉(問い)はどれも新鮮でした。そこに甲乙はつける必要はありません。問いのジャンルは生徒の生活に根ざしたものから、国境を超えたものまでバリエーションに富んでいてじつに面白かったです(変人)

伝統のある高校でこういったテーマの授業が取り組まれることは、とても意義深いと感じました。一方、当日の時間の使い方としては、グルーピングやディスカッションの進め方など、改善できる点もあったと思います(変人)

探究は研究ではない。(変人)

登壇変人プロフィール一覧(50音順)

近未来ハイスクールの【変人】の定義:常に変わり続ける人、
エッジのたったプロフェッショナルのこと

天田 幸宏(あまだゆきひろ)
コンセプトワークス株式会社/独自化戦略コンサルタント/ニッチ戦略士
1973年生まれ。リクルート(現アントレ)発行の起業支援情報誌『アントレ』の編集者として、18年間でのべ3000人以上の起業家および予備軍を見てきた。個人的にも起業支援に取り組むなかで、起業家の書籍出版をサポート。これまで70人以上をプロデュースした実績をもつ。2012年より本書の監修者である藤屋伸二氏に師事し、ドラッカー理論をベースとした「ニッチ戦略」を学ぶ。2017年より藤屋氏が主宰するドラッカー理論をもとにした「藤屋式ニッチ戦略塾」は全国6か所で展開されるうちの1つ銀座塾を担当。経営者や個人事業主、起業家予備軍を対象に事業推進、目標達成のためのコンサルティングや研修、パーソナルセッションを行う。

石井 昭紀(いしいあきのり)
株式会社イージフ 副社長CTO
外資系コンサルティングファームからフリーランス、バイオインフォマティクスベンチャーを経てコンサルティングファーム時代の同期と共に起業。ITによる文書管理というマイナージャンルが専門。

岡田 慶子(おかだけいこ)ユニキャリア 主宰
自分の感性にピンとくるもの、やりがいのある仕事を求めての、業種・業態・職種に関連性のない10数回にわたる転職経験を持つ。2019年より「あなたを活かすユニキャリアを」というキャッチフレーズを掲げるユニキャリア主宰。自分らしく、納得度の高いキャリアを、時代や周囲に惑わされず選択する人を増やしたいと、講演、ワークショップ、コラム執筆などをとおして発信している。<自分の持ち味>×<知識・スキル>×<環境(人脈)>から、過去由来の未来と、未来由来の未来を結合しての「名乗りワークショップ」や、次世代の担い手である子どもたちのキャリアを考える“親の在り方“を考えるプログラムを開発。地方創成の熱中小学校を展開する一般社団法人熱中学園理事。ThinkAeroBagのアンバサダー。ドキュメンタリー映画「シネマベリ二子玉川」実行委員長。

佐藤 恵里(さとうえり)
フレアインターナショナル 代表/通訳案内士/環境ジャーナリスト/ジャパンブランド育成支援事業アドバイザー。上智大学文学部英文学科卒業。グローバルな視野や問題意識から新しい価値観の創造を目指すイニシアチブに参画し、各国を代表する環境専門家や未来学者らとの親交を深め、1995年にフレアインターナショナルを設立。国際間の技術移転を推進。著書:『テクノストレスに効く55の処方箋』(2002年)2004年に国連本部(NY)にてアートによる平和の文化啓発プロジェクトを発足し世界各国で平和の絵の展示活動を行う。同年、中東の紛争地域の青少年を日本に招聘し里山での交流活動を行うNPO法人Peace Field Japanの設立に参画、現在副理事長を務める。

佐藤 浩志(さとうひろし)
アイノバ株式会社 代表取締役
ブランディングプロデューサー
編集者
毎日新聞、ソフトバンクなどの出版部門を経て、独立し、現職。       

島田 徹(しまだとおる)
株式会社プラムザ 代表取締役/システムコンサルタント
1998年第一次ITバブル時代に28歳で起業
創業当初からベンチャーではない中小企業のIT企業を目指す。混沌な状態に自ら飛び込み解きほぐすことに快感を覚える。週末登山家。

清水 豊(しみずゆたか)
マイクロソフト ビジネス開発(日本マイクロソフト)携帯キャリア、ペンタブレットメーカーを経て現職。マイクロソフトのサービスの普及とともに、新技術であるAIやIoTやなどを活用したマーケット創出に挑戦。学生時代は実家の焼肉屋の店長をつとめ、大繁盛させる

波多野 薫(はたのかおる)/株式会社カルディオインテリジェンス COO
新卒入社した会社で研究開発に従事。その後、顧客のニーズにマッチしたビジネスの開発と立ち上げをやってみたいと転職。小さいながらも新規事業の立ち上げを3年で成功させる。3年間営業を担当。昨年2019年は営業マネージャとしてチームを率いる。営業マネージャとして目標とした成果を出すことができ、2020年1月末退職予定。2019年10月末㈱カルディオインテリジェンスを創業メンバーの一員として立ち上げる。大学の持つ世界最先端の技術を活用して、世界的にみて革新的な事業を立ち上げたいと考えている。また、2019年8月より、久野塾第2期中高生向けアクシス発見スクールのコーチの1人として第2期プロジェクトに参加。

前田 利恵子(まえだりえこ)
株式会社MOF 代表取り締まられ役社長/社会福祉法人 杉樹会 理事
東京女子医大糖尿病センター 非常勤講師
千代田区障害者よろず総合相談事業「モフカ」運営
一般社団法人臨床心理福祉協会あすぴれんと理事/一般社団法人ワーキングバリアフリー 理事

宮本 寿(みやもとひさし)
リンクアンドモチベーション、グロービスを経て株式会社メロスパートナーズを設立。ベンチャー/成長企業に対する組織開発プロジェクトのファシリテーション、及び経営層/マネジメント層を対象としたアクションラーニングコーチとして活動。その後、2019年に株式会社クエスチョンサークルを設立。現在は「クエスチョン思考」と称した思考法の体系化や普及を通じて、クライアント企業の組織開発やビジネスリーダーの支援型リーダーシップ開発を支援している。